Everything happens for no reasons.

1年

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2008年1月8日。
彼は私の目の前で死んでいった。


2009年1月8日。
彼と一緒に働いていた人達
昔の彼をよく知る友人
私のそばにいてくれる友人と
彼とよく過ごした店で
食べて、飲んで、笑って過ごした。
彼はいない。
でも、あたたかい時間と空間をみんなで共有した。


死は
人と人を近づける。
最初はそれを悲しいことだと思った。
大切なものを失わないと
正直になれないなんて
残酷すぎると。
悲しい状況で触れる人の優しさは
震えるほど温かかったけど
それと同時に
いつも苦しくて辛かった。


でも今は思う。
死が出会わせてくれたわけじゃないと。
もともと繋がっているのに
よく見えなかったり
ためらったりしていただけで
本当はもっとそばによる機会を
うかがっていたんだ、と。
彼しか見ていなくて
誰かと深く関わることを恐れていた私は
目の前にいるたくさんの人達に気づいていなかった。



彼がいなくなってからも
たくさんの死が私のまわりを通り過ぎていった。
その度に涙が出て
地面が揺らいで
崩れ落ちそうになって
どうしてそんなにまでして
みんな生きてなきゃいけないんだろうと
何度も思った。
明日なんてこなければいいのにと
心の底から思った。

でも
死と生は同じもので
見えない壁のこちら側とむこう側を行き来することに
たいした理由なんてない。
ただ反対側に行ってしまうと
どんなに五感を使っても
もう感じることはできなくなってしまうから
名残惜しくて寂しくて
涙が流れるだけなんだろう。


昔住んでいた街を歩いて
二人でよくいった店でごはんを食べて
一緒に暮らした家を見に行ったときに
懐かしくも悲しくもなくて
涙も流れなくて
ただ時間だけはしっかりと過ぎていて
彼はもこの世からとっくの昔に去ってしまったということを
身体で感じたときに
自分の身に起きたことを
哀れむ気持ちはなくなった。

ときどき彼を思いながら
でももう彼を言い訳にすることなく
私は私でこちら側で暮らしていくんだと思った。
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by dandelionism | 2009-01-10 22:50 | I THINK